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相続コラム

『相続土地国庫帰属制度』

2022/09/15

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『相続土地国庫帰属制度』です。

Aさん

先日、父が亡くなり土地をいくつか相続しました。その中に、特に使っていないため手放したい土地があります。田舎なので、買い手がつかないような土地なのですが、国に引き取ってもらうことはできないのでしょうか?

たかこサン

まさしく、相続した土地を国に引き取ってもらう「相続登記国庫帰属法」が、令和5年4月27日から施行されます。相続した土地に関して、固定資産税を支払い続けること等への負担感を感じる方が増加しているため、このような法律が作られました。

Aさん

それはいいことを聞きました。どのような土地でも国に引き取ってもらえるのでしょうか?

たかこサン

管理コストの国への転嫁や、土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、以下のような一定の要件を満たして場合にのみ、国に引き取ってもらうことができます。

<申請ができる人>
相続又は遺贈により土地を取得した人に限られます。
つまり、売買や贈与など、自ら積極的に取得した場合は、この制度の対象外となります。なお、土地を数人で共有している場合は、共有者の全員が共同して申請する必要があります。

<対象となる土地>
以下の項目のいずれにも該当しないことが要件となります。
①建物がある土地
②担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
③通路など他人によって使用されている土地
④土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地
⑤境界があきらかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地
⑥崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地
⑦工作物や樹木、車両などが地上にある土地
⑧除去が必要なものが地下にある土地
⑨隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地
⑩その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地

<費用>
審査手数料がかかります。具体的な金額はこれから決まる予定です。
また、実際に承認を受けた場合には、10年分の土地管理費用相当額の負担金を納める必要があります。この負担金は、土地の地目や面積、周辺の環境など、実情に応じて算出するとされていますが、こちらも詳細は明らかになっていません。
参考までに現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、以下の通りです。
・市街地200㎡の宅地:約80万円
・粗放的な管理で足りる原野:約20万円

このよう土地をお持ちの方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。