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相続コラム

たかこサンの相続コラム『家族信託と遺言の違い』

2021/07/27

当グループが運営する石川金沢相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『家族信託と遺言の違い』です。

Aさん
私の父は今年80歳になります。今後の相続などに備えて色々調べていると、父が認知症になったときの備えとして家族信託という制度があることを知りました。
家族信託は父の財産管理のための制度という認識でいますが、調べていくと、家族信託には遺言機能もあるということを知りました。これはどのようなものでしょうか?

たかこサン
ご認識のとおり、家族信託の主な機能は、認知症等に備えた財産管理機能です。
具体的には、一般的には親と子の間で信託契約という契約を締結し、その契約書の中で、親が子に金銭や不動産などの管理を任せるという内容を定めます。それにより、子が親の財産を管理できることになります。これが財産管理機能です。
一方で、家族信託には遺言機能もあります。これは、先述の契約書の中で、財産管理に関する内容の他にも、親が亡くなった場合(家族信託が終了した場合)に、信託してあった財産を誰に相続してもらうかを決めておくことを指します。相続が起きた場合に、相続先を決めておくことになるため、まさしく遺言のような機能も果たします

Aさん
なるほど。そうなると気になってくるのが、本当の「遺言」との違いです。「遺言」と「家族信託の遺言機能」はどのように異なるのでしょうか?

たかこサン
「遺言」と「家族信託の遺言機能」は、以下のような点が異なります。
1.作成方法
遺言書は遺言者が一人で作成しますが、家族信託は親子間などの財産を任せる側(委託者)と任される側(受託者)の二人で作成します

2.変更方法
1の作成方法と同じく、遺言書は遺言者一人で変更できますが、家族信託では親子間などの二人で変更する必要があり、親が一人で変更することはできません

3.財産を相続できる人
遺言書では遺言者の次の世代までしか指定することはできません。例えば、「自分が亡くなったら長男に相続してもらい、長男もその後亡くなったら、長男の長男(遺言者の孫)に相続させたい」のように、二代先まで指定することはできません。
一方、家族信託では、これが可能になります。一定の制限はありますが、二代先や三代先まで、相続する人を決めておくことができます

4.対象となる財産の範囲
遺言は、遺言者のすべての財産に関して記載することができます。
一方、家族信託では、あくまで、信託してある財産のみが対象となりますので、信託していない財産は記載することができません

このように、「遺言」と「家族信託の遺言機能」は異なる点も多いため、ご家族の状況や遺言者の方の想いなどによって、どちらを選択するかが分かれますし、それぞれの足りない部分(遺言には、家族信託が持つ財産管理機能はもちろんありません)を補うために、両方作成される方もいらっしゃいます。ご検討の際は、専門家に相談されることをお勧めします。