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相続コラム

たかこサンの相続コラム『コロナ禍における遺言書の需要』

2020/09/23

当グループが運営する石川金沢相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『コロナ禍における遺言書の需要』です。

Aさん
連日の新型コロナウイルスの報道に触れ、以前より、自分や家族の命の危機を身近に感じるようになりました。以前から遺言書を作成しようと思ってはいましたが、収束の兆しが見えない状況を考えると、今すぐにでも遺言書を作成しておくべきなのかもしれません。

たかこサン
そうですね。コロナ禍において、特にご年配の方にとっては、命の危機がより現実的なものとして存在するようになったのではないでしょうか。以前に比べ、遺言書の作成に関するご相談が増えてきています。必要以上に恐怖をあおるつもりはありませんが、この状況をご自身やご家族の相続について考える機会と捉えて、代表的な遺言書作成の方式と、それぞれのメリット・デメリットについて、おさらいしたいと思います。

【自筆証書遺言】
自分で遺言の全文・氏名・日付を自書し、押印する。(※財産目録は手書き不要)
メリット:紙とペンと封筒を用意するだけでよいので、すぐに気軽に作成できる。
デメリット:①法的な必要事項を書き漏らすと無効になるリスクがある。
      ②紛失、隠匿、改ざん等のリスクがある。
      ③遺言執行時に、家庭裁判所で検認が必要。
(※令和2年7月10日よりスタートした法務局による遺言保管制度により、自筆証書遺言のデメリットの②③は解消されますが、①の「法的な必要事項を書き漏らすと無効になるリスク」は、依然として残ります。)
【公正証書遺言】
本人と証人2名で公証役場へ行き、本人が遺言内容を口述し、公証人が記述する。(やむを得ない場合には出張作成も可能)
メリット:法的に有効な遺言を確実に残すことができる。
デメリット:公証人手数料等の費用がかかる。

Aさん
どちらも一般的な遺言書の作成方法ですね。私もこのどちらかで作成しようと考えていました。ただ最悪のケースも想定して、私が新型コロナウイルスに感染し病院に隔離されたり、重篤な症状になった場合は、このどちらの方法も難しいですよね。そうなると遺言書の作成はあきらめなければならないでしょうか?

たかこサン
伝染病などで隔離状態を余儀なくされたり、生命の危機に瀕しているなど、通常の方式では遺言書を作成できない場合には、緊急用として特別な方式の遺言書も作成できます。

【伝染病隔離者遺言】
警察官1名および証人1名の立会いのもと、遺言者が遺言書作成し、遺言者と警察官、証人がそれぞれ署名、押印する。伝染病に限らず、自然災害や服役などにより一般社会との交通が断たれて隔絶した状態であれば作成できるとされています。
【危急時遺言】
証人3名の立会いのもと、遺言者が話したことを書面に筆記し、証人3名が署名、押印する。死亡の危機が迫っている緊急事態にのみ作成可能。

特別方式での遺言はあくまで緊急対応とされますので、通常の方式で遺言が書けるようになった時から6か月を経過して生存していると、特別方式の遺言は無効となります。
緊急時の状況を想像すれば、特別方式での遺言書作成の難易度は極めて高いと思われますので、万が一の場合の作成方法として知っておいたうえで、やはり通常の自筆証書遺言や公正証書遺言で備えておくべきでしょう。