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相続コラム

『空き家問題とその対策』

2024/08/05

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『『空き家問題とその対策』です。

Aさん

近年、ニュースでも『空き家問題』が多く取り上げられるようになりました。どのようなことに注意していけばよいのでしょうか。

たかこサン

使用目的のない空き家の数はこの20年間で約2倍に増加しています。空き家を放置すると、倒壊、景観悪化、不法侵入など様々な悪影響が生じるおそれがあり、大きなトラブルにつながりかねません。団塊世代の多くに相続が発生してくる2040年に向けて、『空き家問題』は更に拍車がかかるといわれています。

空き家を保有するデメリットとして主に以下のような点が挙げられます。
⑴近隣住民に迷惑をかける
適切に管理されず放置された空き家は損傷しやすく、将来的に倒壊や屋根や外壁の落下などが発生し、近隣住民に危険を及ぼす可能性があります。また、ごみの散乱や外壁の破損・汚れが長期間放置されることにより、衛生上や景観上の問題をもたらし、悪臭や野良猫の発生、不法侵入者の出入りによる周辺地域の治安の悪化につながりかねません。

⑵罰則が適用されたり、強制撤去されたりすることがある
空家法において、「そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態」などの一定の状態の家屋等(特定空き家)に認定されると、市区町村はその特定空き家の所有者に適切に管理をするように「助言」や「指導」を行い、それでも改善が見られない場合は「勧告」や「命令」を行います。所有者が命令に従わない場合、50万円以下の過料に処される場合があるほか、行政による強制撤去等の対応が行われる場合もあります。

⑶税金等の負担が増える可能性がある
住宅やマンションなどの居住建物の敷地である住宅用地の固定資産税には、課税標準を引き下げる特例があり、例えば住宅用地の面積200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については6分の1に、面積200㎡を超える部分(一般住宅用地)については3分の1に減額されます。しかし、特定空き家の敷地や、居住のために必要な管理がなされていない場合などで今後居住する見込みがない空家(管理不全空き家)の敷地には、この軽減措置は適用されなくなります。

また、相続により引き継いだ空き家となっている実家を売却した場合の税金(譲渡所得税)は、一定の要件を満たすことで特別控除3,000万円の特例が活用できます。しかし、その特例の期限は現行法で令和9年12月31日までとされており、期限が過ぎた場合には特例が使えず譲渡所得税の負担が増えることも考えられます

この様に適切に管理されず放置された空き家は、自分や家族はもちろん、周辺地域にも大きなデメリットをもたらします。できる限り親が元気なうちに話し合って実家じまいの方針を決めておくことや、実際に相続が発生した場合に早めに「売る」「貸す」「解体する」などを実行していくことが、トラブルや余計な税負担等を回避するために大事なことと思います。
空き家の対策には様々な法律知識と経験が必須ですので、相続の専門家に相談しながら進めることをお勧めいたします。

参考出典: 政府広報オンライン