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相続コラム
『高齢化と認知症』
2024/07/08
当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『高齢化と認知症』です。
Aさん
今のところ健康面の心配はないので相続について考えるのはまだ先でいいと思っているのですが、将来的に認知症になってしまうと色々な手続きができなくなると聞いたので心配です。
たかこサン
日本は超高齢社会と呼ばれていますし、令和4年の時点で日本の総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は29%となっており、令和12(2030)年には30.8%、令和52(2070)年には38.7%、2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上の高齢者になると推計されています。
高齢化に伴い、認知症患者の数も増加しています。
「認知症」とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。
平成24(2015)年には65歳以上の約7人に1人だった認知症高齢者数は、令和7(2025)年には約5人に1人になるとの推計もあります。
年齢が高いほど認知症患者数の割合は高くなり、85~89歳では約40%、90歳以上では約60%の方が認知症です。
ご本人様が認知症になってしまってからご家族の方がご相談に来られるケースも多いので、お元気なうちに認知症リスクに備えておくことは非常に重要です。
認知症により判断能力が不十分となってしまった場合に困るお手続きとして、代表的なものをご紹介します。
① ご本人の預金口座からお金が下せなくなる
金融機関の窓口でお金を下す場合、ご本人の意思確認が必要となります。ご本人が認知症により判断能力が不十分の場合はこの意思確認ができないため、原則、ご本人のための費用であってもお金を下すことができません。医療費や生活費などをご親族が立替えなければならなくなる場合もあり、ご親族に経済的な負担がかかってしまうケースもあります。
② 不動産の処分ができなくなる
施設への入所にともないご自宅を売却して施設費に充てたい等、ご本人のために不動産の売却を検討される方もいらっしゃると思います。しかし、不動産を売却するには不動産の所有者の意思確認が必要になります。売却する時点で所有者であるご本人が認知症により判断能力が不十分の場合は、売却を進めることができなくなってしまいます。
③ 遺産分割協議ができなくなる
認知症により判断能力が不十分の方が誰かの相続人になった場合、遺産の分け方を決めるための「遺産分割協議」に参加することができず、お亡くなりになった方の相続手続きが進められなくなってしまいます。
上記のような認知症リスクに備えて、お元気なうちに対策をしておくことが重要です。「任意後見」、「家族信託」、「生前贈与」、「遺言書」等、ご家族の状況や将来的なご希望に応じて対策を検討することも重要になりますので、お元気なうちにぜひ専門家にご相談されることをおすすめします。
出典:平成29年版高齢社会白書
令和5年版高齢社会白書