NEWS

相続コラム

『連続して相続が発生した場合の控除(相次相続控除)』

2024/05/08

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『連続して相続が発生した場合の控除(相次相続控除)』です。

Aさん

このたび、私の父が死亡しました。4年前には祖父が死亡しており、その際実子である父は財産2.1億円(純資産価額)を相続し、相続税1000万円を納めています。
この様に短期間に連続して相続が発生した場合、今回私が納めるべき相続税額から一定額を控除できる相次相続(そうじそうぞく)控除が適用できると聞きましたが、どのような制度なのでしょうか?ちなみに今回の父の相続の相続財産の総額(純資産価額)は2.5億円で、私が相続したのはそのうち1億円です。

たかこサン

相次相続控除とは、10年以内に2回以上相続が生じ、相続税が課された場合に、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年つき10パーセントの割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除しようというものです。相次相続控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。

<相次相続控除が受けられる人の要件>
①被相続人の相続人であること。
②その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること。
③その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと。

相続人1人あたりの相次相続控除の計算式とAさんの控除額は次の通りです。
<相次相続控除の計算式>
A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10 
※C/(B-A)の割合が100/100を超えるときは100/100とする

A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
B:今回の被相続人が前の相続の際に取得した純資産価額
C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
D:今回のその相続人の純資産価額
E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨てます)

<Aさんの場合の控除額>
1000万円×1億円/(2.1億円-1000万円)×1億円/2.5億円×(10-4)/10=120万円

Aさん

つまり、私の相続税から120万円控除できるということですね。

たかこサン

そのとおりです。注意点としては、前の相続で今回の被相続人に相続税が課税されていることが要件なので、例えば父が亡くなり、その次に母が亡くなるケースなどで父の相続の際に配偶者控除の適用により母が相続税を課税されていない場合などは、母の相続の際に相次相続特例の適用はありません。

相続税申告にはいくつかの税額控除がありますので、実際の申告の際には専門の税理士にご相談されることをおすすめします。