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相続コラム

『相続税の障害者控除とは?』

2023/12/28

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『相続税の障害者控除とは?』です。

Aさん

私は障害者手帳を持っています。先日父が亡くなりましたが、相続人のうちに障害者がいる場合には相続税の計算上いくらか控除を受けられるとききました。どのくらいの控除になるのでしょうか?

たかこサン

相続人に障害者がいる場合には、障害者控除として相続税額から一定金額を差し引くことができます。
具体的な控除額は、その相続人の方が85歳に達するまでの年数に、障害の程度に応じて10万円又は20万円を乗じた金額となります。

<障害者控除額の計算式>
● 一般障害者の場合 10万円×(85歳-相続したときの年齢)
● 特別障害者の場合 20万円×(85歳-相続したときの年齢)

なお、「一般障害者」は身体障害者手帳が3級から6級までの障害者の他、精神障害者保健福祉手帳の障害等級が2級または3級の障害者、児童相談所や知的障害者更生施設などで重度の知的障害者とされた人以外の方等が該当します。

「特別障害者」は身体障害者手帳が1級または2級の障害者の他、精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級の障害者、児童相談所や知的障害者更生施設などで重度の知的障害者とされた者等が該当します。

Aさん

85歳までの年数となると、若い相続人の場合にはその方の相続税額からは引き切れないぐらい控除額が大きくなる可能性もありますね。

たかこサン

障害者控除額が、本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。この場合の扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいい、実際に扶養しているかどうかは関係ありません。

Aさん

ありがとうございます。適用するのに何か要件はあるのでしょうか?

たかこサン

障害者控除の適用を受けられるのは次の全てに当てはまる人です。
⑴ 法定相続人であること
⑵ 相続または遺贈によって財産を取得した人
⑶ 財産を取得する相続人が障害者である人
⑷ 相続した時点で日本国内に住所がある人

また、障害者控除は、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減と異なり、申告要件がないことも特徴です。つまり、障害者控除により全ての相続人納税額が0円となった場合には、相続税申告そのものが不要になります。ただし、その障害者が今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。

障害者控除の適用も含めて、相続税の申告については注意すべき点が多いので、相続を得意とする専門家にご相談されることをお勧めします。