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相続コラム

『相続税 生前贈与加算の対象者は?』

2023/12/25

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『相続税 生前贈与加算の対象者は?』です。

Aさん

相続税対策として親族への生前贈与を検討しています。相続税を計算する際の「生前贈与加算」(※)の期間が延長されましたが、詳しく教えてください。

(※)「生前贈与加算」とは、相続開始前3~7年以内に、被相続人から暦年課税による生前贈与(以下、「暦年贈与」という)を受けた場合、その贈与財産を相続財産に持ち戻し、相続税額の計算に含める制度です。

たかこサン

令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以降に行われる暦年贈与について、生前贈与加算の加算期間が7年に延長されました。

この生前贈与加算の対象者となるのは、以下の方です。
・ 相続や遺贈によって財産を取得した人
・ みなし相続財産を取得した人

① 相続によって財産を取得した人
基本的には、法定相続人に該当する方が相続開始前3~7年以内に暦年贈与を受けていた場合は、加算の対象になります。ただし、相続放棄をした方や相続によって財産を何も取得しなかった方は、加算対象者には含まれません。

② 遺贈によって財産を取得した人
法定相続人であるかどうかに関わらず、遺贈(遺言により財産を無償でゆずること、法定相続人以外にも遺産をゆずることができる)によって財産を取得した方が相続開始前3~7年以内に暦年贈与を受けていた場合も、加算の対象になります。

③ みなし相続財産を取得した人
生命保険金や死亡退職金などのみなし相続財産(相続財産ではないが相続税の課税対象となる財産)を取得した方も、加算の対象者になります。
例えば、生命保険金の受取人をお孫様(法定相続人ではない)にしていた場合、そのお孫様への相続開始前3~7年以内の暦年贈与は生前贈与加算の対象となってしまいます。

また、暦年贈与は基礎控除110万円以下であれば贈与税の申告・納税が不要ですが、生前贈与加算は基礎控除以下の暦年贈与も対象になります。

加算期間が延長されたことにより、相続税対策としての生前贈与についてはこれまで以上に早く対策を打っていくことが重要となりました。相続によって財産を取得する予定の方に暦年贈与をする場合は、少しでも早く行った方が対策効果を得られる可能性が高くなります。また、相続や遺贈によって財産を取得しないご親族へ贈与されることも相続税対策に繋がります。
相続税対策のために行った生前贈与でも、結果として相続財産に持ち戻すことになってしまい効果が無かったというケースもよくみかけます。生前贈与をご検討の方は、事前に専門家にご相談されて効果的に対策をとっていくことをおすすめします。