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相続コラム

『相続放棄しても受け取れるもの』

2023/12/19

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『相続放棄しても受け取れるもの』です。

Aさん

私の父には借金があるため、父が亡くなった際には相続放棄しようと思っています。
しかし、父からは、私が受取人になっている生命保険金があると言われています。
父が亡くなり私が相続放棄した場合でも、この生命保険金は受け取ることができるのでしょうか?

たかこサン

相続放棄をしても、Aさんが受取人になっている生命保険金は受け取ることができます。これは、生命保険金は、本人(亡くなった方)の財産ではなく、受取人固有の財産と考えるためです。
一方、本人(亡くなった方)が受取人になっている入院保険金などは受け取ることができません。
相続放棄した場合に受け取れるもの、受け取れないものとして間違えやすいものがいくつかありますが、以下のように分けることができます。

【受け取れるもの】
以下のような、「本人が亡くなったことにより遺族に対して支払われる」お金は、遺族の方の固有の財産となるため相続放棄しても受け取ることができます。
・生命保険金
・国民健康保険、健康保険組合等からの葬祭費・埋葬料
・遺族年金、死亡一時金
・未支給年金

【受け取れないもの】
以下のような「生きていれば本人が受け取るはずであった」お金は、亡くなった方の財産であり、受け取ってしまうと「相続した」ことになるので相続放棄をする場合は、受け取ってはいけません。
・本人(亡くなった方)が受取人となっている入院保険や傷病保険の保険金
・一括払いをしていたが、亡くなったことにより払いすぎとなっていた税金・年金・保険料等の還付金

また、通常、相続放棄をすると、被相続人の債務(借金等)を支払う必要は一切ありませんので、滞納していた水道光熱費などの支払義務も負わないことになります。
しかし、「相続人が被相続人の配偶者である場合」には、被相続人の債務が「日常家事債務」に該当するときは支払義務が残ることになるので注意が必要です。
これは、夫婦の一方が「日常の家事」に関して第三者との法律行為によって負った債務については、夫婦のもう一方は連帯責任を負うためです。
そのため、以下のような日常家事債務については、被相続人の配偶者は、相続放棄した場合であっても、「自分の債務」として支払わなければなりません
・日常的な衣食住にかかる費用
・家具家電などの購入費用
・水道光熱費
・日常的な娯楽や交際費
・日常的な教育費 
       

なお、この場合でも、「被相続人の財産」から支払いをすると法定単純承認が成立して相続放棄できなくなりますので、相続放棄をする場合は、配偶者は自分の財産からこれらの支払いをする必要があります
このように、相続放棄をする場合には注意点がいくつもありますので、専門家に相談されることをお勧めします。