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相続コラム

『お子さんがいない方の相続』

2023/01/26

当グループが運営するむかい相続サポートセンターから相続コラムをお届け致します。
今回は『お子さんがいない方の相続』です。

Aさん

私には夫がいますが、私たち夫婦には子供がいません。今後子供を持つ予定はないのですが、夫が亡くなったときは、私がすべての遺産を相続できるということでよいのでしょうか?

たかこサン

お子さんのいない方の相続は、注意が必要です。お子さんがいない方が亡くなった場合、配偶者はもちろん相続人になりますが、亡くなった方の親御さんがご健在であれば親御さんも相続人になります。また、すでに親御さんが亡くなっている場合は、配偶者とともに、亡くなった方の兄弟姉妹(亡くなっている兄弟姉妹がいる場合はその子供)も相続人になります。
 法定相続分(各相続人の取り分として法律上定められた割合。ただし、相続人間で話し合いがまとまれば、法定相続分の割合に縛られることはありません)は、以下の通りです。
配偶者と親が相続人になる場合:配偶者2/3  親1/3
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合:配偶者3/4  兄弟姉妹1/4

配偶者の法定相続分の方が大きいとはいえ、配偶者の方は、亡くなった方の親御さん又は兄弟姉妹と、遺産分けの話し合いをしなければなりません。
これは、配偶者の方にとっては非常に大きな負担になります。

Aさん

それは大変ですね。夫の両親はすでに亡くなっているので、夫が亡くなった場合は、夫の兄弟と遺産分けの話し合いをしないといけないのですね。想像しただけでも気が重くなります。なんとか話し合いをしなくても済む方法はないのでしょうか?

たかこサン

ご主人が遺言書を作成すれば、話し合いをしなくて済みます。すべての財産をAさんに相続させるという内容の遺言書にしてもらえばよいでしょう。遺言書があれば、相続人間の話し合いは必要なく、遺言書どおりに遺産を相続することができます。
ただし、親御さんも相続人になる場合は、親御さんには遺留分という最低限の権利(遺産全体の1/6を金銭で請求できる権利)があるので、遺留分のことも考慮した遺言書にするなどの対応をした方がよいでしょう。一方、兄弟姉妹には遺留分はありませんので、兄弟姉妹が相続人の場合は、遺留分を考慮する必要はありません。
なお、遺言書の中で、「遺言執行者」を定めておくこともおすすめします。この「遺言執行者」を定めていないと、預貯金の解約や不動産の名義変更などの相続手続きにおいて、相続人全員の協力が必要になるためです。「遺言執行者」をAさんとしておけば、各種相続手続きはAさんだけで行うことができます。ただし、遺言執行者には、相続人全員への通知義務などがありますので、司法書士などの専門家を指定しておくと、手続きはさらにスムーズになるでしょう。
また、Aさんが先に亡くなった場合には、ご主人が同じ事態に陥りますので、Aさん自身も、ご主人のために遺言書を作成しておくことをお勧めします。
遺言書は、他にも様々なことを考慮して作成する必要があるため、作成される場合は、一度専門家に相談されるとよいでしょう。